はじめに
読んでからちょっとたってしまったのですが、カイゼン・ジャーニーという本がとても良かったので感想等々を書こうと思います。
全ての内容に対してじっくり書いてると長くなってしまうので、特に学びのあった内容と、この本の構成の良かったところを簡単に書きます。
どんな内容の本か?
すごくざっくり言うと、スクラムを基本としてプロジェクトをカイゼンさせていくやり方をフィクションのお話に併せて説明していく本。
「もしドラ」に近いイメージで、あれのスクラム版みたいな感じの印象でした。
江島というエンジニアを主人公に、プロジェクトを進めながらぶつかる様々な問題(主にマネジメントとかチームビルドの問題)をスクラムの手法を使って解決していきます。
特に学びのあった内容
一人から始める
これは最初の章ですね。
とある勉強会に参加しマネジメントの全くできていないプロジェクトのカイゼンを進めようと決意した江島が、まず最初に自分のマネジメントから初めます。
最初は「タスクボード」で自分一人のタスクを管理し、一人で振り返りをやったりします。
タスク管理に限った話ではないですが、新しいことをやる時に小さく始めて良ければ周りにも展開する、というのは常套手段ですね。
それにマネジメントの手法とかはチームでの話だけで考えられがちですが、自分のマネジメントをするのにも使えるし、効果があります。
僕はこれに影響されて、ホワイトボードを買ってきて自分の管理をするタスクボードを作りました笑
(ちなみに今はjootoというデジタルのツールに移行しました)
問題はありませんという問題
毎日朝会をやっている中で、いつも「問題はありません」と言っていて一見順調そうだったメンバーが、実は進捗に遅れが出ていて滅入ってしまい、ある日急に会社に来なくなってしまった話です。
これはリアルによくある話だなぁと思いました。
朝会とかでの進捗確認って割と惰性になりやすかったりするし、みんながいる前なので「問題が起きてます」「遅れてます」とか人によっては言いづらい雰囲気になる場合もあります。
この本ではファイブフィンガーという方法を使って解決を試みていますが、これは常に心がけておかないといけない問題だと思います。
星取表とモブプログラミング
スクラムを使っていい感じに仕上がってきたチームで、開発の割と終盤に2年目の若手エンジニアが入ってくることになり「さあどうしよう」という話。
そこでまず「星取表(スキルマップ)」というものを作ります。
これは「スキルマップ」の名の通りで、チームメンバーがそれぞれどのようなスキルを持っていて、何が得意で何が苦手かを可視化するものです。
例えば下記のようにスキルの項目を定義し、人ごとに習熟度を書いたりします。
(↑は習得希望)
これによって「誰になにをやらせるのが最適か」「誰をサポートに付けるべきか」「何を教育しなくてはいけないか」など様々なことが分かります。
チームでこういうのはやったことがないので、なかなか面白いなーと思いました。
あとモブプログラミングはよくある話なので詳細は省きます。
やっぱり新しいメンバーの教育とか理解を深める意味ではやはり有用そうだなというのは感じましたね。
チームの解散
作ってきたプロダクトがローンチし、チームを解散する時の話です。
ここでは「ポストモーテム」というのをやっていました。
これは要はプロジェクトの終了後に行う全体の振り返りですね。
絶対やるべきことなんですが、やってるプロジェクトは割と少ない気がしています。
プロジェクトメンバーの人達にとっても有益だし、会社にとっても次立ち上がるプロジェクトへの糧になるのですごく重要だと思いますね。
色々とルールやポイントがあるんですが、
- 気軽で自由な発言の場にする
- 具体的な内容を語るようにする
- 犯人探しのようにならず、ポジティブな問題解決に導く
みたいなところが特に重要なのかなと。
あと、「感謝のアクティビティ」というのが面白かったです。
プロジェクトをやっている最中はアツい気持ちがある故にぶつかり合うことも多いので、最後にお互いへの感謝の気持ちを伝えるというもの。
それぞれ他のメンバー全員へのメッセージカードを書いて、最後に言葉を伝えながら順番に渡していく。
最後にこうやって気持ちのいい形で追われるのはすごく良いなと思いました。
この本の構成の良かったところ
複数のプロジェクトの話がある
カイゼン・ジャーニーでは、3つのプロジェクトが登場します。
いずれも主人公の江島が所属するプロジェクトなのですが、
1つ目のプロジェクト:
マネジメントができておらず上手く回っていない。
江島がカイゼンを試みて兆しは見えるものの、結局やり切れずに終了。
2つ目のプロジェクト:
内製で社内で使うツールを作るプロジェクト。
プロジェクトの開始時から所属し、外部のスクラムマスターと共に最初からしっかりとスクラムを取り入れて進めて行く。
途中色々な問題にぶつかりながらも、リリース、プロジェクトの終了(チームの解散)までやり切る。
3つ目のプロジェクト:
2つ目のプロジェクトを終え、江島が新たに配属されたプロジェクト。
こちらは外部のプロダクトオーナーや顧客と組んでやるため、また新たな問題が色々と発生する。
といった感じで、一つのベストプラクティスを紹介して終わるとかではなく、失敗も含め違ったパターンのプロジェクトを3つ見せてくれることで、ケーススタディとしても参考になる。
ここはこの本の大きな良かったポイントだなと個人的には思いました。
ストーリーが面白い
純粋にお話として面白いです。
自分がエンジニアだから余計に共感できる部分が多かったのかもしれないけど。
ぜひとも映画化かアニメ化して欲しいですね笑
これでキャラクターのイメージとか挿絵が入ってたらもしドラみたいになってたのかなーと。
なんで開発に関わるような人はみんな見てみると面白いし勉強になると思います。
最後に
今までマネジメントとかスクラムの本とかは色々と読んだけど、こういう小説みたいな形で読めるのは面白いし、より具体的に理解できた気がします。
キャラクターがいるおかげで共感できることも多かったし、状況もイメージしやすかった。
とても良い本なので、久しぶりに会社とかでも他の人にたくさん薦めました。
マネジメントみたいな人の絡む話は、こういう感じの本の方がもっとあると理解しやすいのかなーと思いました。